過活動膀胱
監修(執筆・文責など): さくまクリニック院長 医学博士 咲間 隆裕
過活動膀胱とは
過活動膀胱の症状は、「頻尿(トイレが近い)」「尿意切迫感」「切迫性尿失禁」の3つの症状です。どれか1つがあてはまれば過活動膀胱の可能性があります。40歳以上の12.4%に過活動膀胱の症状があり、その割合は年齢とともに増加していることが分かりました(右図)。日本の人口に換算すると、810万人の過活動膀胱の患者さんがいると推定されています。実際に悩んでおられる方は実は大変に多いのですが、恥ずかしいので我慢している方がほとんどです。悩んでいるのは、あなただけではありません。ひとりで悩まず、専門医に相談してみましょう。
過活動膀胱の症状
頻尿(トイレが近い)
人がトイレにいく回数は、日中で5~7、寝ている間は0回が正常と言われています。日中が8回以上トイレにいき、夜間は1回以上トイレのために起きるなら、それは頻尿症状だと言えます。
尿意切迫感
人は、最初に尿意を感じてから1時間くらいはおしっこを我慢できます。しかし尿意切迫感は強い尿意が突然訪れるとともに、一度その尿意を感じると我慢することが難しく、トイレにかけ込まなければなりません。
切迫性尿失禁
ふいに尿がしたくなってその高まりが急なため、トイレに着くまで我慢できずにもらしてしまうのが尿失禁です。
過活動膀胱の症状があるかどうか過活動膀胱質問票(OABSS)を用いて診断します。
心当たりがある方は是非こちらを参考にしてください。
過活動膀胱の原因
脳梗塞・脳出血などによるものを除けば、いくつかの原因が複雑にからみあって特定できないものや加齢によるものが、実際には最も多く存在しています。症状による診断だけでは他の病気(膀胱がんや結石、膀胱炎)との見分けができないケースがあるので、症状にお困りの方や気になる方は泌尿器科の受診をおすすめします。
過活動膀胱の治療
過活動膀胱の治療は、まず薬物療法を行うのが一般的です。β3刺激薬や抗コリン剤という内服薬でかなりの割合で効果が期待できます。また、膀胱訓練で排尿間隔を広げるようにもしていきます。尿意切迫感を感じても慌てずに深呼吸して、膀胱の収縮の波がおさまったところでトイレにいくようにしたり、骨盤底筋体操でこらえるコツをつかみましょう。毎日の生活の中でも、下半身を冷やさないようにしたり、水分摂取バランス(摂らなすぎたり、摂りすぎたりしないよう)に気をつけていれば尿のトラブルを軽減させることができるポイントがたくさんあります。
薬物療法抵抗性の難治性過活動膀胱に対するボツリヌス毒素(ボトックス)膀胱壁内注入療法
β3刺激薬や抗コリン薬を一定期間服薬しても症状の改善がない「難治性過活動膀胱」の患者さんに対し、2020年より「ボツリヌス毒素(ボトックス)膀胱壁内注入療法」が保険適応となり治療ができるようになりました。
当院では女性の難治性過活動膀胱に対して、日帰りで施術を行っております。