精巣捻転
監修(執筆・文責など): さくまクリニック院長 医学博士 咲間 隆裕
精巣捻転とは
精巣捻転とは、精索(精巣に流れる血管の束)が捻じれてしまうことで精巣に血液が送られなくなった状態(虚血)のことです。発症から6~8時間内にねじれを解除する必要があり、緊急手術になることが多い病気です。 発見が遅れると精巣を摘出せざるを得ないことがあります。精巣捻転は生後まもない新生児と、思春期前後の男の子に多く起こりますが、どの年齢でも起こる可能性があります。
精巣捻転の原因
通常、精巣は付着している鞘膜にしっかり固定されており、陰嚢の中で自由に動くことはありません。精巣捻転の原因ははっきりわかっていませんが、新生児では鞘膜と陰嚢自体の固定が緩やかであることが原因で捻転を起こしやすいと考えられています。一方、思春期から成人では解剖学的な異常により精巣と精巣上体が動きやすくなっていることが原因となることが多いとされています。
精巣捻転の症状
通常、激しい陰のうの痛みで始まり、次第に陰のうが腫れて赤くなります。寝ているときや明け方に発症することが多いのが特徴です。吐き気や嘔吐(おうと)を伴うこともあり、小さなお子さんの場合、「おなかが痛い」という訴えのために見落とされることがあります。
精巣捻転の診断
精巣捻転の診断は、陰嚢部の状態を直接確認し、触診で痛みの部位や程度、硬結(しこり)の有無などを調べます。超音波検査ではドップラーエコーで精巣への血流の状態も確認します。精巣捻転では血流が低下ないし途絶します。
精巣捻転の治療
精巣捻転であることが確実である場合、精巣捻転を否定できない場合は緊急手術の適応となります。手で精巣を回してねじれが戻ることもあります(これを用手的整復と言います)が、ねじれが再発する可能性が高いため手術をすることがほとんどです。