性器ヘルペス
監修(執筆・文責など): さくまクリニック院長 医学博士 咲間 隆裕
性器ヘルペスとは
性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスによる感染によって生じる性感染症です。単純ヘルペスウイルスには、1型と2型があり、性器ヘルペス感染症は、主に2型によって起こされますが、主に1型で起こる口唇ヘルペスのウイルスも、オーラルセックスなどが原因で性器にも感染するため、型による区別は出来なくなっています。
単純ヘルペスウイルスは一度感染すると体内(神経節)に潜伏し、疲労が重なったときなど、時に再活性して再発を繰り返します。
性器ヘルペスの症状
性器ヘルペスは、性器に小さい水疱や潰瘍ができるのが代表的な症状です。陰部の痛み、熱っぽさ、違和感をともなうことがあります。また、ヘルペスウイルスに一度感染すると、体内からいなくなることは基本的にありません。ストレスや疲労時など、抵抗力が低下しているタイミングで再発することが多いため、「いつ再発するかわからない」という不安が、心理的な負担になってしまいます。
性器ヘルペスの治療
性器ヘルペスの治療は、主に抗ウイルス薬の内服治療です。内服を始めるのが早いほど症状悪化を抑えることができるので、早めに治療を始めることが大切です。
【PIT(Patient Initiated Therapy)】
PITとは、Patient Initiated Therapyのことで、ヘルペスの新しい概念の治療法です。繰り返すヘルペスは、早目の飲み薬が効きます。前駆症状を生じた際に、短期間服用することにより症状を悪化させることを防ぐ、または症状を速やかに治癒させることが期待できます。対象となるのは年に3回以上再発を繰り返してしまう人です。前駆症状を感じても忙しくてすぐに病院に行くことが出来ず、悪化させてしまいがちな方には最適な方法です。
【再発抑制療法】
再発抑制療法は、抗ウイルス薬を1日1回、1年間毎日内服し再発を抑える方法です。1年間に6回以上の性器ヘルペスが繰り返し再発する人に限り、保険適応で治療ができます。絶対に再発しないというものではないため、極度の疲労などで再発するリスクもありますが、再発したとしても症状は比較的軽く済む場合が多いです。